名前のない道

名前のない道に名前をつける喜び 静寂 雨が雪へと変わり スワンは大輪の花となる 蝸牛 蝸牛に呼びかける 蝸牛に呼びかける 数ミリ残る軌跡

天は二人

あなたは知っていますか 天という字は、 二と人を合わせて天と書くのを

肩を貸す

肩を貸す 肩を借りる 間柄

マッチ箱の物語

あなたはあなたの物語を語る マッチ箱にマッチ一本を残し

ピアノバーの女

こっそり後をつけてきた女は ピアノバーに消えた 快楽の林檎を齧るために

コウモリのダンス

コウモリがタキシードで 踊ってる 蜘蛛の巣だらけのタキシードで・・・

ワシ鼻の男

ワシ鼻の 耳の大きな 絵描き

一輪のバラ

一輪のバラが 灯となる夜

コインの秘密

わたしのコインは表が出ないの そう言ってあなたは笑った

葉巻の男

トイプードルを抱く葉巻の男

男は・・・ 

男は赤い薔薇に囲まれた部屋に入院した

黄金の骸骨

夢の中の君は 黄金の骸骨になって 僕を抱きしめる

虹ひとひら

虹ひとひら 身にまとい 孤独の青空泳ぐのか

一葉舟

ライターを点けて 淋しさ紛らわす 一葉舟

君は終着駅 それとも始発駅 空と大地がふれあう 唯一無二の駅

ブルース

冷めた出逢いと 熱いさようなら

夏の女神

ショッキングピンクのきみは ナイアガラの夏の女神

猫を抱く

思い出に 妬きもち焼いて 猫を抱く

切れ長の・・・

切れ長の 涼やかなりしそのひとの 椿の柄の扇子ひろげたる様 さながら一幅の美人画の如し

ファシズムが始まるとき

ユーモアを鎖国してしまうとき それはファシズムが始まるとき

人魚の爪

人魚の爪はさくら貝 淡き恋のさくら貝

冷たい熱帯魚

抱きしめたあなたは 冷たい熱帯魚

黒いドレスの女

黒いドレスの女には ジャズがお似合い 女の歌が妖しく燃える

凍えております

氷雨に濡れる八重桜からこんな声が・・・ 「遅咲きの恋が凍えております」

そこに春が・・・

雑草の中から一本のチューリップ そこに春が生まれてる

齧る女

齧る 齧る 女は齧る 「ゴリゴリ・ガリガリ・コリコリ」 無心で齧る 齧る齧る氷を齧る 齧る齧る骨を齧る 齧る齧る嘘つき男を齧る 齧る齧る運命を・・・

よみびとしらずの恋

結ばれぬ よみびとしらずの恋なれば

永遠

永遠は 海とお空のさかいめに きらきらひかるおひさま

ひと色足りない虹

君がいないと ひと色足りない虹のようだ

浮世蛍

濁った浮世の泥の河 君は蛍のともし火で やさしく肩を照らしてくれた