2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

粋なひととき

「朧夜の父の清元艶やかに」 先日、日本橋三越劇場で「日本橋くらま会」の催しを観覧した。 番組は、小唄 夢の柳橋 中州から。 常磐津 お祭り勢獅子。 長唄 雪月花。 清元 青海波。 清元 お祭り等。 毎年観覧するのを、楽しみにしている。 「日本橋くらま会…

恋猫の旅立ち

「去り際の潔ぎよきかな恋の猫」 「功名が辻」でキュートなくノ一、子りんが退場となった。 長澤まさみ演じる子りんは、上川隆也演じる一豊を翻ろうする 小悪魔的存在だった。 「あばよ」と言って子りんは立ち去る。 何故か、研ナオコの歌、「あばよ」を思い…

俵万智の発見

俵万智が、未婚の母になったと知ったとき、 『サラダ記念日」の少しはにかんだ、乙女チックな 印象があったので、少々驚いた。 そんな俵万智の恋愛と子育て俳句を、二首抜粋してみる。 排卵日に合わせて愛し合うことの 正しいような正しくないような この短…

ホリエモンのラマダン

ライブドア事件で、証券取引法違反に問われていた、 前社長堀江貴文被告(32歳)が、保釈された。 94日ぶりに、東京拘留置所を出ることとなった。 8キロ痩せたホリエモンの顔は、以前より好青年の面持ちがあった。 拘留中の、ホリエモンは読書三昧で、…

永遠の詩人、ランボー

フランスの詩人、アルチュール・ランボーの詩、 『永遠』 あれが見つかった 何が?永遠 太陽と溶けあった 海のことさ ランボー全詩集 宇佐美斉訳 沈む太陽、海に溶ける瞬間ランボーは永遠を発見する。 それは、アインシュタインの相対性理論の閃めきに似てい…

津軽のコンパニオン

先日、ある宴会でのコンパニオンとの会話。 色白の娘で、どこか純朴な感じであった。 何気なく出身を聞いてみると、青森県の津軽出身。 東京に上京して五年。 東京での生活は、なんとなく寂しいと話していたので 「県人会には、入っていないの」と、 私が聞…

花失せぬ舞

「物数を極めて、工夫を盡して後、花の失せぬところを知るべし」風姿家伝より 先日、ある日本舞踊を観覧する機会があった。 何遍も何遍もお稽古を積み、 工夫を施したであろう舞踊家の踊りに、 世阿弥の「花」に通ずる芸を感じた。 模倣することは信頼するこ…

[エッセイ] 心の師

海外の駐在生活を終え、なぜか私の脳裡に浮かんだのが、 小林秀雄のことであった。 すでに小林秀雄は、鬼籍に入っていた。 私の心は、小林秀雄のお墓のある、 鎌倉の東慶寺に向かっていた。 小林のお墓に手を合わせたい気持ちで一杯になり、 わたしは、横須…

海の息吹

千葉県の木更津に出かけた。ホテルの三階からは、遠浅の海が広がり、潮干狩りをする人々の姿が、かすんで見えた。ところが、数時間経つと沖より波が押し寄せてきた。見る見るうちに、海岸線も海水に満たされ、景色は一変した。わたしは、潮の満ち引きに海の…

[コラム] 黄砂の中の日中韓

初夏の陽気となった十八日、日本列島の天空を黄砂が覆った。東京では六年ぶりの観測となった。都心で視界が七キロまでかすんだ。黄砂は主に中国大陸の黄土地帯で、吹き上げられた多量の砂塵が、偏西風に流され、日本に届く現象。中国では、過去五年でも最大…

 経営者の効率化、小説家の遊び心

トヨタ自動車の副社長が効率化を優先し、 村上龍が、小説家がもとっも効率化から、 縁遠いと存在だと語ったことが印象ぶかかった。 トヨタの副社長が上司の重要な仕事は、 部下を適材適所に配置することが、肝要だと語っていた。 自己との作業である小説家と…

「女の戦い」「妻対女」

今回、印象に残った台詞は、六平太が千代に誓った、 「俺は天下統一のためとおまえのために生きている、おまえを裏切らない」 忍びの世界は権謀術数の世界だが、 千代に対する六平太の思いは、どこかプラトニックなところがある。 アンビバレンスな心象風景…

『初刷りのインクの香りなつかしき』

わたしは、以前新聞の印刷会社に勤めていた。 新年初めて輪転機を廻し、刷り上げた新聞を初刷りという。 初刷りは、俳句の新年の季語になっている。 初刷りの新聞に顔を寄せると、刷り上ったばかりのインクの香りがした。 出来たての新聞にはまだ、あたたか…

『恋人の淡雪となり召されけり』

中島みゆきの「雪」をイメージして句にした。 “雪 気がつけばいつしか なぜ こんな夜に降るの いま あの人の命が 永い別れ 私に告げました” 雪降る夜、最愛の恋人が天に召される。 “あの人が旅立つ前に 私が投げつけたわがままは いつかつぐなうはずはずでし…

「俳句」 『雪解風三国連山斧木霊』

深い雪に閉ざされた三国連山、 暖かい春風が吹く。 待ちに待った雪解けの風。 人々も動物も、そして草木も すべての生命が目覚める季節。 三国連山に斧こだまが響く。 ※三国連山 群馬、新潟、福島、の三県に連なる山々。 ※季語 雪解風(ゆきげかぜ) 雪国で…

『敦盛の笛澄渡る櫻かな』

平家の公達、平敦盛。 源氏の武将、熊谷直実に討たれ弱冠十六歳で戦死する。 敦盛は笛の名手として知られ、平家物語では美男にして早世の、 悲劇の武将として語られている。 櫻満開のなか、敦盛の美しい笛の音が、 聞く者の心に澄渡る。 有名な「青葉の笛」…

信長のニヒリズム

「人生五十年、下天のうちに比ぶれば夢幻のごとくなり。 ひとたびこの世に生を受け滅せぬもののあるべきか」 敦盛を舞う信長。 その舞姿に私は信長のニヒリズムを見る思いがする。 信長のニヒリズムに破壊と再生へのエネルギーを感じる。 生とは滅ぶこと。滅…

『炭撥ねて雨の匂ひの濃かりけり』

あれは底冷えのする雨の日、 鎌倉のお風入れの季節。 お風入れは様々なお寺の宝物を陰干しをする行事である。 普段はめったに見ることのできない、 仏像、掛け軸、書画など展観できる。 薄暗い寺院の奥で、火鉢の炭が熾き火となっている。 雨の日ゆえに炭が…

長澤まさみ小悪魔開眼

長澤まさみが、NHKの「功名が辻」で上川隆也演じる 山内一豊を誘惑するくノ一役を好演している。 今までの清純なイメージとは違うが、 どこか初々しさが漂う小悪魔だ。 「タッチ」の南役は彼女にふさわしい役柄だったが、 小悪魔娘の小りんを演じることで…

『稲妻や闇貼りつきし平家琵琶』  

稲妻が、闇を切り裂く。 平家琵琶が地の底から響きわたる。 黄泉の国からの誘いか 落ち武者の霊が現れる。 見目麗しき姫がさめざめと泣いている。 壇ノ浦の佳境となり琵琶法師の撥が激しく切なく鳴り響く。 美しき怨念は、琵琶に取り憑き闇となる。 平家物語…

『源平の櫻となりて散りにけり』

源氏、平家とも武士団の棟梁として、隆盛を極め、ともに滅びていった。 源氏は清和天皇の孫、経基が臣籍降下、源氏の姓を賜るを祖とする。 平家は桓武天皇の子孫である高望王が臣籍に降下し平の姓を受け、 後に子孫が武士団の棟梁として仰がれた。 鎌倉幕府…