『初刷りのインクの香りなつかしき』


わたしは、以前新聞の印刷会社に勤めていた。
新年初めて輪転機を廻し、刷り上げた新聞を初刷りという。
初刷りは、俳句の新年の季語になっている。
初刷りの新聞に顔を寄せると、刷り上ったばかりのインクの香りがした。
出来たての新聞にはまだ、あたたかな温もりが感じられた。
二十年以上前の時代であり、
当時の新聞印刷は、鉛の活字を一字一字拾い植字をする。
活版印刷が主流であった。
ただ現在は、グーテンベルク以来の印刷技術の進歩で、
コンピューター化され、新聞にインクの香りがなくなって久しい。
わたしは、刷り上りのインクの香りをなつかしく思う。
印刷工場で働いていた職人さんの笑顔が、
インクの香りとともに懐かしく蘇えることがある。


※グーテンベルグ
様々な印刷技術を組み合わせ、
1445年頃印刷技術を完成。
グーテンベルグ活版印刷機は有名。
ぶどう絞り機にヒントを得る。
羅針盤、火薬とならんでルネサンス
三大発明のひとつ。






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