運について


ヒルズ族という言葉が、少々色褪せてきた。
ライブドア事件以後、女性タレントと、
ヒルズ長者との浮名も、めっきり減っている。


東京拘置所から釈放された当初、
「生き急いだのかもしれない。」
という堀江貴文氏の言葉にある種の謙虚さを感じた。
しかし、少々最近、昔のライブドアのイケイケの頃の、
ホリエモンになりつつある。
そんなホリエモンの現状とダブル、
城山三郎の興味深い文章があるので、引用してみる。


「運がよかったわね」
「そうじゃない。おれの運が強いんだ」
泣き言などいわなかったおれに、運の方がしびれを切らして
頭をさげてきた。
これからだって、きっと、運が家来のように、
おれについてくる。
「外食王の飢え」より


「やることが、奇道であり、邪道だよ。
それでも勝てばいいというかも知れんが、奇道や邪道は、
永い目でみれば、正道に勝てないものなんだよ」
「百戦百勝」より


堀江貴文氏の才能に、世の人は嫉妬する。
彼の力は、目を見張る。
しかし、企業理念がないようにも思える。
創業時の、松下電器ソニー本田技研工業のような燃える想い。
産みの苦しみ、
そして、ある種の明るさ。
トップのみが、輝いているのではなく、
組織全体が輝やいている企業。
働いているスタッフ一人一人が輝いている企業は強い。
確かに、
「おれの運は強い」とホリエモンは思っているのかもしれぬ。
しかし、奇道や邪道は長い目でみれば、
正道には勝てない。
城山三郎の人間洞察は鋭い。