新はんなり菊太郎


内藤剛志が、飄々とした菊太郎をよく演じている。
公事宿に奈良の宮大工四郎右衛門(伊吹吾郎)が訪れ、
名門大名の、彦根井伊家を訴えると話す。
既に依頼を受けていた京屋敷の工事を、一方的に反故にされたのだ。
命がけの決意を確かめた、公事宿の親方(渡辺徹)は、
これを奉行所に訴える手続きをする。


今回は、菊太郎の実家の植木泥棒が重要な役割を果たす。
この植木泥棒には、面倒を見ている、沢山の子供と老人がいる。
植木泥棒は、子供達の食い扶持を得る為の、止むを得ざる過ちであった。


最後に、井伊家と宮大工の四郎右衛門は妥協をする。
植木泥棒が面倒を見ていた子供や老人のための普請を、
菊太郎は思いつく。
提案通り、貧しい子供や老人のための長屋を普請することで、双方が合意する。


白でもなく黒でもない結末。
中間色の頃合い。
池波正太郎の世界のようだ。
人情あっての、法といったところか・・・
水戸黄門のような勧善懲悪でもない。
だからこそ、余韻のある最後になったのかもしれない。


* ベテランの宍戸錠香川京子、中堅の南果歩東ちづる
  若手の星野真里などキャストも充実していた。