レオナルド・ダ・ヴィンチ


 『レオナルド・ダ・ヴィンチー天才の実像』を鑑賞する。
この展覧会は、上野恩賜公園にある東京国立博物館で開催されている。
期間は、2007年3月20日〜6月17日。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、NHKで放送された、
レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯」を視て感銘し、
興味を持った芸術家だ。
何よりも、静謐な風貌の中に、燃えるような情熱を蔵するレオナルドに惹かれた。
ルネサンスを代表する芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチ
今回の展示では、『受胎告知』が日本での初公開となる。
『受胎告知』は、ダ・ヴィンチが20代初めに描いた作品。
完成作では、「最後の晩餐」に次ぐ大作。


 上野公園は、暑いぐらいの陽気だった。
既に、桜は葉桜となり、緑が美しかった。
今日は、ベージュのジャケット、ミントグリーンのチーフ、
スワロフスキーのホールピンといった、コンサバ風。


 昨年は、ダリ展と日展を鑑賞した。
今年初めての美術展となる、レオナルド・ダ・ヴィンチ展を、楽しみにしていた。
ロゴスとパトスの壮大な弁証法を、私はダ・ヴィンチに期待していた。


 東京国立博物館は、荘厳な佇まいで、
レオナルド・ダヴィンチの展示に相応しい展示場。
眩い日差しの中、20分ほど並んで館内に入り、
先ず荷物検査と探知機を通り、いよいよ『受胎告知』を
鑑賞することとなった。
『受胎告知』が見えた。
第一印象は、質感、量感がよく伝わってくる作品だなということ。
マリアのブルーの生地と、ガブリエルの紅の生地の質感と量感。


 厳密なるレオナルドの遠近法。
すべての直線は無限遠において、中央の一点(消失点)に収束する。
この『受胎告知』では、後方の山に収斂されている。
ガブリエルより受胎告知された、マリアの落ち着いた表情が印象的だ。



 ダ・ヴィンチは、科学技術の考察を自らの芸術に活かした。
物理学、解剖学、様々な発明をしている、マルチな才能の偉人。
彼の頭の中は、どうなっていたのだろうか・・・・・・
天才とは、実存するものだ。
文学界の巨匠、シェイクスピアにも、マルチな才能を感じる。
但し、シェイクスピアは文学の範疇に限られるが・・・・・
ルネサンスという、人間謳歌の大空を飛翔するレオナルド・ダ・ヴィンチ。  
 
 ウィトルウィウス的人体図を観覧したとき、『ダ・ヴィンチ・コード』が、
頭の中を過ぎった。
ウィリアム・シェイクスピアも謎の文学者だが、
レオナルド・ダ・ヴィンチその人も謎が多い。


 ダ・ヴィンチの描く女性は、どこか中性的であり、
あたかも、美少年のようにも見える。
『ユーレカ』の魅力は、女性の魅力以上だったのだろうか・・・・



 東京国立博物館を後にして、お昼も過ぎたので、
上野精養軒の屋上レストランで、名物のハヤシライスと生ビールを注文。
ハヤシライスは、確かに美味しい。
デミグラスソースが、まろやかで、それでいてコクがある。
牛肉も口の中で、とろけるほど煮込まれいる。
春の柔かい日差しというより、肌にチクチクするような日差しだったので、
生ビールは、ことさら美味しかった。
まさに、五臓六腑に沁みるとはこのことだ。
芸術とアルコールに刺激され、私の顔は少々紅潮していたに違いない。



〇『ユーレカ』とは、ギリシャ語で「我、発見せり」の意味。


〇『精養軒』は、明治5年創業のフランス料理の老舗。
 上野精養軒は、不忍池畔の高台にあり、眼下に広がる水と緑の眺望に、
 しばし、都会の喧騒を忘れさせてくれる。
 期間限定の「レオナルド・ダ・ヴィンチ特別展記念メニュー」が人気。