ダンディズム


吉行淳之介は、どこか気になる存在だった。
彼の小説を満足に読んでもいないのに、
どこかその風貌に惹かれるものがあった。
鬼平」の池波正太郎が浅草下町の粋ならば、
吉行淳之介は、銀座の都会のダンディズムがあった。


クールでどこか人生を達観しているようで、
それでいて優しい彼の眼差し。
まあ、これは私の思い込みかもしれないが・・・・
「どんな人とも水平に接する人」
と小説家の村松友視は語る。
銀座の「クラブ順子」のママ田村順子は、
「少年がそのまま年をとったような、純粋で綺麗な笑い顔でした」
と彼を回想している。