愛と孤独


芸術祭大賞ドラマ「火の魚」を見る。
久しぶりの本格的派ドラマだった。
原田芳雄扮する初老の小説家と新任の編集者(尾野真千子)との交流。
「愛」と「孤独」を考えさせられた。
若い頃は東京で遊び暮らし、才気煥発な小説家だった村田省三。
その村田となかなか馴染めない編集者の折見とち子。


「俺は死に怯えながら死んだように生きている」


そんな村田の心の叫びが印象に残った。


「人間だれしも金魚だと思われたい」


人間は特別な存在でいたい、
確かにいわしではなく、
金魚のように美しい存在で・・・・


金魚の魚拓、
金魚のマグカップ
最後の薔薇の花束、
が効果的だった。


小説家の村田がよく
「実に・・・」
という言葉をよく使っていた。


葛藤しながらもお互いを理解しあう二人。
男と女、親子以上の年齢を超えて、
いとおしく思うふたり。


若き日の原田芳雄の写真が、
ドラマで登場して懐かしかった。
ワイルドなギラギラした原田芳雄がいた。
映画専門誌の「映画芸術」「キネマ旬報」を読んでいた頃を思い出した。