隅っこでいい・・・・
先日、義理の伯母の葬儀に参列した。
伯母は88歳の米寿だった。
そんなおばの葬儀に、おばの若いころの女学生の写真と一緒に、
白樺の絵と川柳の句集が飾られていた。
ああ、おばさんは、川柳と絵の趣味があったんだなと、
初めて知った。
そんな伯母の川柳の中で印象に残った句。
愛されて今は狸の妻である
だいじょうぶいつまでもそばにいてあげる
この句は夫である伯父のことを綴った句だろう。
お腹が出た夫を狸にたとえながらも、
どこか伴侶への愛情が句全体から感じられる、
夫婦の年輪を感じさせる川柳。
実は伯父の方がおばより先に倒れ、
おばは伯父の看護をしていた。
従兄によるとかなり高齢のおばにとって、
伯父の看護は体に堪えたのではないかとのことだった。
『だいじょうぶ』と伯父に語りかけるおばがいる。
一つ年上の姉さん女房のおば。
気丈さを感じさせる句だ。
隅っこでいい天国に住みたいな
『隅っこでいい』
そんな表現が少女のように愛らしい。
おばは自分の死期を意識して句を作ったのだろうか。
そんな思いが過った。