加山雄三のメロドラマ

若大将シリーズで活躍していた頃、
加山雄三がメロドラマ？の相手役で出演していた。
それは映画「乱れる」と「乱れ雲」

「乱れる」では高峰秀子演じる義理姉と、
「乱れ雲」では司葉子演じる被害者の妻と。
二本の映画とも安っぽいメロドラマではなく、
女性の心理描写を細やかに丁寧に描いている。
その女性の引き立て役を青年加山が演じている。
相手の女性はいずれも年上の女性。
「乱れる」では、不良ぽい若者。
「乱れ雲」では交通事故で新婚の夫を死なせてしまった青年が、
被害者の妻を愛してしまう。

私の中で若き加山雄三は、
若大将シリーズのスポーツ万能の好青年のイメージが強い。
道ならぬ恋をする男のイメージはあまりなかった。
この恋愛映画を初めて観た際、
年上の女性の相手役を演じる加山雄三に違和感を感じた。

高峰秀子・司葉子とも匂うような人妻を演じている。
清潔感と女性の艶というアンビバレントな魅力がある。
特に「乱れ雲」の司葉子は素晴らしいの一語に尽きる。
巨匠成瀬巳喜男監督の演出が光る。