暗いですか・・・


「どんな絵が好きなの」
レンブラントが好きです」
と彼女は答えた。
「私って暗いですか・・・」
と薄いくちびるが呟いた。



上野の国立西洋美術館で、
レンブラント展 光の探求・闇の誘惑」
を鑑賞した。
「版画と絵画 天才が極めた明暗表現」


「皓々と闇光り出すレンブラント
そんな俳句が浮かんだ。
そして稲妻のように脳裏に走った言葉。
『闇が光り出すのだ』
闇と光りは決して分かれていない。
分かちがたく結びつている。
それは人間にとって、
天国と地獄が実は別々に存在しているのではなく、
分かちがたく結びついているように・・・・
だからこそ闇は光るのだ。
『光る闇』
そんな不条理な色彩感覚が、私を支配していた。
光を探求し、闇の誘惑に手招きされて、
天国とも地獄とも名づけられぬ門から、
確かに光る闇を見ていた。