大奥の真珠


テレビドラマの「大奥」を見ていたとき、
尼君から還俗(けんぞく)せられたお万の方に惹かれた。
お万の方を「大奥」では瀬戸朝香が演じていた。
彼女の色香漂う尼姿が魅力的だった。


私は、このお万の方、細川ガラシャお市の方といった、
どこか数奇な運命の女性(にょしょう)に惹かれる。
彼女達は凛とした気品と覚悟がある。
まさに上臈という言葉がふさわしい女性たちだ。


吉屋信子著「徳川の夫人たち」上巻を読み終える。
三代将軍家光の側室となった慶光院七世新院主改めお万の方。
大奥の真珠。
将軍の乳母、春日局との確執を軸に物語りは進む。
家光とお万はまさに東男に京女。
英邁の気質が眉目に溢れる武家の棟梁将軍家光。
高貴な美しさに輝くばかりのお万の方。
意に沿わぬ家光との出会いではあったが、
いつしか家光に惹かれ女へと変身し輝きを増すお万の方。
彼女の心象風景の変化も興味深い。
早く下巻も読みたい、
そんな期待が膨らんでくる。