名誉教授の歯


先日、お世話になっている名誉教授のお見舞いに伺った。
名誉教授は伝統ある歯科大のご出身。
先生は腰痛がひどくなり、入院された。
「昔は立って患者さんを看ていたから、
 腰をやられるんだ」
と、笑顔で話されていた。


そしてビックリしたのは笑顔の歯が綺麗なこと。
御年86歳とは思えぬしっかりした歯並びだった。
ともすれば、患者さんの歯ばかりに気を使い、
自らの歯の手入れを怠る歯医者もいる。
こうした紺屋の白袴になりかねないお立場の先生だが、
まことに立派な歯は歯科医師の勲章のように輝いていた。