加藤栄三の軌跡


市川市東山魁夷記念館」で「加藤栄三の軌跡」を鑑賞。
日本画家の加藤栄三は東山魁夷東京藝術大学時代からの盟友であり、
市川市にも縁のある芸術家だということを知った。
奇遇なことに、
加藤画伯のお嬢様お二人にもお逢いできたことは、
思いも寄らぬ出来事で、望外の幸せでした。
直接お嬢様から加藤画伯のお人柄をお聞きすることができ、
とても印象深い展示会となった。
そして学芸員の方には、
懇切丁寧に作品の解説をしていただいた。


「月響」「風光る」「草炎」「飛騨」「流離の灯」
などを鑑賞していると、じわりじわりと作品が沁みてゆくような、
そんな心持になって行く。
なかでも「飛騨」「流離の灯」
は現実が夢幻となり夢幻が現実なりながら、
心の鏡を回り灯籠のようにくるくる廻る思いがした。


加藤栄三画伯のこんな言葉が目に留まった。


「本当の写実、つまり心の写実をやれば深い良い絵になります」


そして私の頭の中で、
俳人高浜虚子の「客観写生」という言葉が、
突然浮かんだのだった。
「写生」という言葉が、
私の脳裡でしばらく響いていた。
日本画と俳句と表現手段は異なるけれど、
同じ琴線をお持ちだったのかもしれない、
そんな勝手な想像をしている私がいた。