セザンヌーパリとブロヴァンス展


六本木の国立新美術館で「セザンヌーパリとプロヴァンス」展を鑑賞。
ポール・セザンヌ後期印象派の画家で「近代絵画の父」とも呼ばれ、
キュビズムにも影響を与えた画家。


展示で印象に残ったのは「四季」
この「四季」は若きセザンヌが描いた絵画だ。
画家を目指そうか諦めようか迷っていた時代の作品。
目の覚めるようなブルーをはじめ色使いが実に鮮やかだ。
「春」は花飾りを持った若い女性が描かれ。
「夏」は小麦を持った成熟した女性となり。
「秋」は夕暮れの薄明かりの中で、
季節の果物を盛った籠を頭に乗せた若い女性。
「冬」は火の傍らで体を丸め暖を取る女性を描いている。
それにしてもこの絵の女性の表情は乏しい。
驚くばかりの色彩美と対照的だ。
セザンヌの女性に対するコンプレックスの表出か・・・


彼の静物画の「りんごとオレンジ」を鑑賞したとき、
りんごとオレンジは不安定なようで統一されている、
そんな印象を持った。
模様の異なる絨毯と白い布、
そして果物達・・・
白い布から転げ落ちそうなりんごは、
「ああ我は何と絶望的にして、楽天的な存在なのだろう・・・」
と呟きが聴こえてきそうだ。


静物画の「青い花瓶」はこちら側に花瓶のブルーが飛び込んできた。
そして音楽を感じた。
この絵は構成力の絶妙さで評価されている作品だが、
どこか感覚的な響きにも似たものが、
私の琴線と共鳴した。


ポール・セザンヌにしてもそうだが、芸術の大家達は、
みんな悩んで大きくなったんだなと思った。