薄桜記(はくおうき)


山本耕史主演の「薄桜記」は美しいドラマだ。
若き剣豪丹下典膳、その妻千春(柴本幸)は、
絵に描いたような美男美女なのだが、
わたしが二人に惹かれるのは、
互いを思う気持が実に美しいところだ。
抑制された愛情表現ゆえに、
一層深い男女の情を醸し出している。


陵辱された妻の名誉のために離別する典膳。
離別されても典膳を支えることを誓う千春。


「優しい奥方様をお迎えくださいませ」
と千春。
「わしは二度と妻は娶らぬ、
 丹下典膳の妻はそなたひとりだ」
と典膳。
「あなた・・・」
と言って嗚咽する千春。


ここで涙腺が思わず緩んでしまった。
柴本幸の母上真野響子も、
大河ドラマ風と雲と虹と」でひたむきな女性を好演していた。
色白で意志の強よそうな彼女の眉毛が、
どこかお母さんに似ているなと思った。