白く煙る雨


上野公園は雨で白く煙っていた。
しばし雨宿りで、スターバックスカフェでお茶をした。
そういえば、浅草の邦楽の発表会の折り、
夕立を見ながら、
「遣らずの雨だね・・」
と粋な浴衣姿のご主人がいた。
「遣らずの雨」は、
帰ろうとしようとする人を引き止めるかのように降る雨。
白く煙る雨を見ながらそんなことを思い出していた。


フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞しながら、
「遣らずの雨」のような絵だなと思った。
この作品の少女を見ていると、
いつまでも立ち去りがたい気持になるからだ。


少女が小首をかしげこちらを見ている。
わたしたちを見据えるように・・・
灰青色の目、心持ち開いた唇、黄と青のターバンを巻きつけ、
耳から真珠の耳飾りが下がっている。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」のように、
神秘的で魅力的な作品だ。


振り返る
遣らずの雨の
少女かな