生き急ぐなよ・・・


同業者の社長が亡くなられた。
まだ53歳の若さで・・・・
自宅で倒れていたところをお母様が発見して救急車を呼んだそうだ。
会社の常務のお話によると、
昏睡状態で1ヶ月ほどいたが静かに息を引き取ったとのことだった。


「クールに見えるけど意外に義理がたいんだよ」
ある席での彼の私の評価だった。
よく酔うと「兄貴」と年下の私に甘えてきた。
三人のお子さんと若くしてお孫さんもいらしたが、         
熟年離婚をされてから急に酒の量が増えた。


彼が酩酊状態だったので自宅までタクシーで送ったことがあった。
玄関の前まで肩を貸して送っていくと、
「家に帰ってさ、一人で電気を点けるのって淋しいぜ」
そんなことをぽつりと話していたのが忘れられない。


心根の優しい淋しがりやの男だった。
会長のお父様のことを思うと居たたまれない。
「死に急ぐ、否、生き急ぐなよ・・・」
彼の面影が去来したとき、
そんな言葉が脳裡に浮かんだ。
心よりご冥福をお祈りする