父来(きた)る


新盆は父との朝ご飯から始まった・・・
夢の中で私の隣で父がご飯を食べていた。
家族でご飯を食べていたので、
たぶん朝食だろうと思う。
子どもの頃、父は多忙で、
まず夕食を一緒に取ったことはなかったからだ。
息子としてお盆に父来(きた)るとは嬉しいことだった。
提灯を組み立てたり、
墓参をしたりしながら何か縁のようなものを考えていた。
しばらく仏壇の父の位牌を見つめていると、
不思議と心が安らいだ。
そしていつの間にか父と対話をしていた。


父は事業家であるとともに、
ある業界団体の役員としても長年活動していた。
私が現在の業界団体の役員になったときは、
「おまえが役員かい・・・」
とちょっとからかいながらも嬉しそうだったのを覚えいる。


亡くなる一週間ぐらい前に、
私の大臣表彰の記念に作ったワインを贈ったとき、
「まあ座れよ」
と父が言って、
父と二人で話したのが今生の別れとなった。


   新盆に
    父来りて
     懐かしき