闇夜の月


今日の月は明るい。
満月ではないが、夜空を穏やかに照らしている。
そんな月を見ていたら
先日ある局長と酒席をご一緒させて頂いたときのことが思い出された。


その日、局長は酔いが廻ったのか、
ふと涙ぐまれた。
「私が大学を辞めてなにも肩書のない時に、
 あなたの会社にお誘いいただいた。
 ともすれば、肩書が無くなった途端、
 私から離れていく人間もいたけど・・・」
そんなお話だった。
「私たちは20年以上お付き合いがあり、
お互いどこか馬が合う仲だったじゃないですか。
 それから人情だけで会社にお誘いしたわけじゃありません。
 実力があると判断したからです
何よりもその証拠に、
転職されて事務方のトップにいらっしゃるじゃないですか」
そうお応えした。


闇夜の月は、
心の光明のようだ。
私もその方に随分助けられた。
闇夜の時は、
これからもお互い照らす月の間柄でいたいと思った。