あれから一年


お世話になっていたクラブが閉店して一年になる。
私にとってこのお店は夜の人生勉強の大学でもあった。
ママさんは33年間、クラブを経営されていた。
浮き沈みの激しい水商売を33年間続けることは、
並大抵の苦労ではなかったろう。
絵画を描くことがご趣味で、ご自分の作品をお店に飾っていた。
ママさんの数ある作品の中で、
ひとり娘のお嬢さんを描いた絵が特に印象深い。
砂浜の波打ち際で、スカートの裾を捲り、
満面の笑顔で無邪気に波と戯れるお嬢さんを描いた絵。
その絵を拝見すると心が温かくなったのを覚えている。



店を閉められた後、たまたまお店の前を通りかかると、
奇遇にもチーママとお会いした。
お店の後片付けをしているとのことだった。
チーママから声を掛けられたとき、
彼女の笑顔がとても爽やかだった。
お店の最終日に、
「お店がずっと続くと思ってたのね、お店が閉まる実感が湧かないの」
そんなことをチーママが話していた。


あれから一年が経つんだな・・・
ママさんの幕の降ろし方は本当に見事だったなと思う。