白木蓮の匂い


池波正太郎原作の歴史ドラマ「真田太平記」の第6話「出会い」
真田源次郎草刈正雄)と忍びの女、お江(遥くらら)が初めて出逢う。


傷を負った源次郎(幸村)を介抱するお江。
応急の手当てを受けた源次郎は、傷を癒すため温泉に浸かっていた。
そんな湯船には玉の肌のお江がすでに入浴していた。
「源次郎さまはおなごの肌は初めてでございますね。」
と微笑むお江。
源次郎はどぎまきしながら頷く。
お江は「可愛い殿御」
そんな表情だ。


ふたりはその夜、結ばれるのだが、
夜半に目覚めた源次郎がある匂いに気づく。
「何か匂うな、よい匂いじゃ・・・」
お江が応える。
「この匂いは白木蓮の匂い」
「何故匂いに、気が付かなかったのだろう」
と源次郎が不思議がると、
「明るいうちは、人は目に頼る
 夜の闇のなかでは人も獣になり
 匂いを五感で感じるのです。」
お江が艶めかしい瞳で匂いの不思議を解き明かす。
「俺は今日から白木蓮を好きになることに決めたぞ。」
青年源次郎は爽やかな笑顔で宣言するのだった。
木蓮の誓いは、源次郎のお江への愛の証しでもあった。