「エッセイ」三十周年記念発表会


伯母が家元をしてる日本舞踊の三十周年記念発表会を鑑賞した。
会場は定員1000人の市の文化ホール。
日舞の発表会らしく着物姿の御婦人が華やかだ。
伯母からチャリティー募金を市長さんにお渡し、
市長さんからは流派の三十周年記念の祝辞を頂いた。


伯母は今年86歳。
日本舞踊を習い始めて七十年。
家元になって三十年になる。
心臓にはペースメーカーを内蔵している。
そんな伯母なので舞台を見ながらはらはらしていた。


他の流派の流祖・宗家などの踊りが、
華を添えていた。
特に流祖の「岩」の踊りがいなせで素晴らしかった。
流祖は80近い御婦人だと拝察したが、
生意気なことをいえば芸に張りがるなと感じた。
伯母の「夢・乱蝶」は妖艶、豪商一代「紀伊国屋文左衛門」は力が漲っていた。
齢八十過ぎとは思えない艶のある踊りだった。


御礼の挨拶の後、新師範になったお孫娘から花束が贈られ、
「孫娘から花束を贈られてこんなに嬉しいことはございません。」
と話す伯母は満面の笑みであった。