詩集

三好達治

夏の日差しが、肌に痛い真昼のこと、 ふと、地面に目をやると蟻たちが、トンボを運んでいた。 餌としてトンボを、自分達の巣に運んでいるのだう。 まるで羽を広げたままのトンボは、大きなグライダーのようだった。 蟻は、人間のようにも見えた。 大きなグラ…