気になる男たち

同世代の俳優に、何かしら刺激をうけることがある。
20年近く前、あるトーク番組で、真田広之渡辺徹金田賢一の対談を、
放映したのが、印象に、残っている。
まだ、彼らも若く、真田は、角川映画やアクション物の映画に出演し、
けして、今のような演技派の俳優として、認められた存在ではなかった。
まだ、千葉真一の弟子のような、あくまでもアクションスターの範疇にいた。
渡辺徹は、「太陽にほえろ」の若手刑事役の印象が強く、
やはり、後の大河ドラマの「いのち」で、役者として開花する前であった。
むしろ、金田賢一は、映画「真昼なり」で一定の評価を得ていた。
そして、2006年の同世代俳優で、気になるのは、
佐藤浩市中井貴一、そして真田広之だろう。
彼らは、シリアスな役からコメディまでこなす、幅の広い俳優である。
いずれも、演技派であり、かつ役者魂を持っているように、
感じられる。
佐藤浩市は、父親である三国連太郎に、強烈な敵愾心を持ちながらも、
どこか、役者としては、認め、尊敬しているのかもしれない。
父、三国連太郎と同じく、演技に独特の匂いを放つ稀有な俳優である。
中井貴一は、父親佐田啓二の、亡くなった年齢を強烈に意識していた。
父親の寿命を超えること、それが、役者生活の大事な目標でもあった。
今、その年齢を無事に通過することができ、
大河ドラマ義経」での源頼朝の演技には、円熟味を感じた。
真田広之は、シェークスピア劇などにもチャレンジして、
自らの、演技の守備範囲を広めている。
渡辺謙と同じく、国際派の俳優でもある。
真田広之は、総合芸術を演じられる数少ない役者である。
佐藤浩市が、あくまでも映像(テレビ、映画)にこだわる姿勢と、真田の、
幅広く演技へ取り組む姿勢とは、役者として、両極にある。
佐藤と中井は、二世ということもあり、どこかそれぞれに、
俳優である父への、エデップス・コンプレックスがあるように、思われる。
それは、取りも直さず、父親を乗り越えようとする、
エネルギーとなる。
そして、そのエネルギーが、彼らの演技に磨きをかける。
四十歳を過ぎ、男の色気を放つ彼らに、
同世代の一人として、エールを送りたい。


渡辺謙も、最近燻し銀の演技が光る。
 女優では、黒木瞳、いつまでも、フェロモンを発している。
 知的にして、淡々としているところに、好感をもつ。

真田広之は、日本舞踊玉川流の名取でもある。



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