「光秀転落」


筆まめの千代(仲間由紀恵)は、戦場の一豊(上川隆也)に、
家中の出来事を綴った手紙を送る。
千代の手紙は、家中のことに止まらず、夫への恋文でもあった。
他の女房たちも、はしたないとは言いながら、色めきたち、
自分も手紙を書いてみようとするが、千代のように、
なかなか文面が浮かばない。
千代の手紙は、一豊のみではなく、黒田官兵衛斉藤洋介)や
吉兵衛(武田鉄矢)にも、届けられる。
千代の気配りが光る。
気配りとは、気働きであるを千代は、自然にこなしてしまう。
一方、一豊は、徳川家康西田敏行)の歓迎の宴の相伴を、信長から許される。
その席で、光秀(坂東三津五郎)が満座の前で、信長に激しく叱責され、
足蹴にされる姿を見て、何かよからぬことが起こりそうな予感に襲われる。
一豊は、そんな自分の気持ちを抑えきれず、
無我夢中で備中高松への帰路、千代のもとを訪れる。
わが妻と子に会い、ようやく一豊の心の胸騒ぎは収まる。
光秀を安土城に呼び出した信長(舘ひろし)は、朝廷より
関白あるいは、征夷大将軍の就任の内示を受けていることを話し、
どのように、取り計らうか、光秀に意見をもとめる。
光秀は、平家を名乗る織田信長には、関白が適切なのではないかと返答する。
しかし、信長は不敵な笑みを浮かべ、自らを日本の王だと豪語する。
そして、畏れ多くも皇室をないがしろにすることを、言い放つ。
光秀は、彼が尊ぶところの、伝統と格式の象徴である将軍家と叡山を、
信長の命により、自らの手で滅ぼし、焼き討ちしてきた。
それは、己の、出世のためでもあった。
しかし、朝廷は光秀にとって、将軍家や叡山の比ではなく、
日の本の国そのものである。
さらに、近江五十万石も召し上げとなり、光秀は、自失呆然となる。
信長に仕えた、自分は、何だったのだろうかと?
知性の人、理性の人、明智光秀は、慟哭する。
光秀のアイデンティティは、激しくゆれる。
そして結論は、信長は朝敵であると悟る。
朝敵は、滅ぼさねばならない。
光秀は、「時は今」と決意し、
時代は、一気に本能寺の変へと突き進む。


*いつも思うのだが、やはり男は女性、取り分け妻や母、恋人に励まされると
 やる気をおこす。責任感も湧く。根は一豊と同じく単純なところがある。
 あげまんの秘訣は、褒め上手ではないだろうか。


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