香西かおり 「すき」


香西かおりの「すき」が好きだ。
香西かおりが、自ら作詞をしている。
作曲は、玉置浩二が担当している。


『見慣れた街角にも 季節はめぐるのに 
 心は今もあの時まま 身動きできないのよ』


季節はめぐる、しかし愛する男性への思いは身動きできず、
今も胸の奥に刻まれている。


『逢いたい気持ちだけで かけだしたけれど
 言い出せなくて おさえた想い伝えたいのあなたに』


「おさえた想い」という詞に、愛する人にもうひとりの、
女性の影を感じる。
そんな男性への思慕。


二番の冒頭は、香西かおりの恋の体験を綴ったのかなと思わせる歌詞だ。


『留守番電話の声 くり返し聞きながら
 あなたの笑顔思いうかべて やさしい気持ちになる』


いつも気軽に逢える関係ではない。
そんな好きな人だが、その声に女性の心は、癒される。


『うまく言えないけれど 信じているのよ
 はにかむ瞳そして唇 好きなのすべてが』


シャイな男性なのか・・・・
男性のイメージが浮かぶフレーズだ。


『遠く離れていても 見つめている事を
 感じてくれるなら いつの日か抱きしめて』


「遠く離れて」とは、心の距離か、遠距離恋愛か・・・
いづれにしても、お慕いしている、私の心ごと抱きしめて欲しい
そんな気持ちの発露を感じる。


『いつまでもそばにいて あなたを感じたいの
 こんなにもこんなにも切なくて恋しくて すき』


愛するひとの温もりを感じていたい
そんな女心が、切ない。
もどかしさが、愛となる。
中森明菜の「スローモーション」の歌詞の

「心だけが 先走りね」

そんな気持ちを想起させる。
香西かおりが影響をうけた、市川睦月(久世光彦)の世界の匂いのする歌詞。
市川睦月作詞の「無言坂」の日本的アールヌーボー
に通じる香西かおりの「すき」


しっぽりとした情感を込めて、女性が歌うと心に染み入る曲だ。