泣く効用

山田洋次監督の「男はつらいよ」では、実に、登場人物が、
よく泣く。
さくら(倍賞千恵子)も泣くが寅さん(渥美清)も泣く。マドンナも泣く。
おいちゃんもおばちゃんも、たこ社長も・・・
人の情に触れ、彼らは泣く。
そして、観ている私たちも泣くのだ。
泣いた後には、ある種の温かさを感じる。
世の中が乾ききって、心がささくれている現代。
涙することは、精神の効用になるのではないか。
日本は、四季の国のだ。
日本人は、春夏秋冬に、もののあわれを感じる、抒情の民族だ。
人間の一生を、季節の移ろいに重ね合わせる。
和歌、俳句と、世界に冠たる短詩もある。
喜怒哀楽の琴線の震えに、涙する心。
坂本九は「涙くんさよなら」を歌ったけど、
大切にしたい、涙もある。


*今日は、寅さんの日だそうだ。
 1969年8月27日「男はつらいよ」第一作が上映された。