沢尻エリカと長澤まさみ
今回の「タイヨウのうた」で、印象に残ったのは、薫(沢尻エリカ)の、
「10年後、孝治の側にいないのは分かっている。
だから、100年分愛したい。」
という言葉だ。
山口百恵主演の「赤い疑惑」で、
白血病で、自暴自棄になっている娘(山口百恵)に、
父親(宇津井健)が、
「一分一秒を大切に、生きるんだ。」
と諭す場面を思い出した。
雨音薫と藤代孝治(山田孝之)の二人には、時間がない。
だからこそ、「今が大事。」なのだ。
最近、注目している女優は、沢尻エリカと長澤まさみだ。
沢尻エリカは、エキゾチックな雰囲気がある。
東洋と西洋が融合した、イスタンブールやモナコの街が似合う女優だ。
無国籍な面影が、他の若手女優にない魅力になっている。
久保田早紀の「異邦人」のような女性だ。”
少し醒めた瞳で、見つめる姿が謎めいている。
彼女の、劇中歌の「タイヨウのうた」も月光の輝きのような歌声だ。
長澤まさみは、どちらかといえば、日本美人であり、
東宝女優らしい、正統派の印象がある。
等身大の19歳の女性の魅力がある。
微速度撮影の花のように、蕾から花へと徐々に開く、
現在進行形の美しさがある。
感性で物事を切り開くというより、
自分自身と対話しながら、演技を磨くタイプなのかもしれない。
陰の沢尻エリカ、
陽の長澤まさみ、
二人の、更なる飛躍を期待したい。
* 沢尻エリカ、長澤まさみが、20歳前後とすれば、
ベテラン女優の20歳頃の作品と、見比べてみるのもよい。
佐久間良子の水上勉原作「五番町夕霧楼」
岩下志麻の中村吉右衛門と共演した「心中天網島」
若尾文子の「越前竹人形」
三人とも女優らしい女優であり、数ある作品の中でも私が好きな映画だ。
最近、「セクシー」という言葉で、俳優を評価するが、
彼女達は、「官能美」という言葉がふさわしいと女優だ。
女であることを、これ程感じさせてくれる女優は、今は少ない。
特に、若い頃の若尾文子は、あるときは小悪魔、そしてあるときは又、
しっとりした貴婦人も演じる、男心に火を点ける女優であった。