食は生活
以前、向田邦子原作の「寺内貫太郎一家」というドラマがあった。
よく、食事のシーンが放映されていた。
大家族の食事の場面は、なぜか、元気が出たものだ。
私も、学生時代賄い付きの下宿をしていて、
同居の下宿人と同じ釜の、食事をしたものだ。
先輩の給仕を後輩がする慣わしで、私も大学1年の頃先輩の給仕をした。
おまけに、大学3年になり、
大家さんの息子と娘の家庭教師をするようになり、
大家さんの家族と食事をすることもしばしばあった。
「芋たこなんきん」にも食事の場面がでてくる。
夜食のサツマイ芋やお握りなど・・・・
そして、健次郎(國村隼)の父親に、
町子(藤山直美)が夕飯を食べていきなさい、
と誘われる場面に、昭和の大阪の人情を感じた。
「こんにちは赤ちゃん」を健次郎の家族で歌うシーン、
カラオケがない時代、手拍子で歌を歌うことがあった。
私の時代は、ギターを弾きながら、仲間と歌った思い出がある。
それにしても、香川京子が出演しているのがうれしい。
子供の頃、香川京子のようなお母さんがいたらなあ・・・
などと思ったことがあった。
河内桃子も好きでした。優しい叔母さまのようで。
若い頃の香川京子の印象を、映画監督の小津安二郎が、
「洗い立ての感じがいいね」
と評している。
お母さんの匂いは、石鹸の匂いという歌があった。
香川京子には、そんな清潔感を感じる。
今井正監督「ひめゆりの塔」の香川京子演じる女学生役が印象深い。
純情可憐にして気丈な少女を好演していた。
まあ、バンビのような少女でした。
勿論、私と同世代のリアルタイムの女優ではないし、
今は70歳を過ぎた初老のご夫人ですが・・・・
品のある立ち振る舞いは、変わっていません。
町子(藤山直美)が大阪の女性を評して、
「大阪の女は、芋たこなんきんとお芝居。」
と言っていたのが、食道楽大阪らしかった。
田辺聖子、向田邦子、二人の女流作家は、
食の場面を実に活き活きと描いている。
*NHK土曜スタジオパークで、ヒロインの人生を変える、
作家池内幸三郎役の板尾創路(いたおいつじ)が、藤山直美を、
親しみを込めて、大阪弁のパンダと評していたのが面白かった。
尚、作家池内幸三郎のモデルは直木賞作家、藤本義一だそうだ。