賢夫人

功名が辻」の山内一豊の妻、千代は昔から賢夫人の誉が高い。
明治生まれの祖母は、よく嫁にするなら一豊の妻のような、
賢夫人と結婚しなさいと言っていた。
今時で言えば、あげまんの女性と結婚しなさいというところか。
ただ、当時小学生の私は、山内一豊という戦国武将の存在が、
よく分からなかった。
信長、秀吉、家康といった武将は伝記などでも読んでいたが、
山内一豊、それもその妻、千代はまったく知識ゼロに等しかった。
私のなかでは、むしろ織田信長の奥方であった、
濃姫に惹かれるところがあった。
NHKの大河ドラマ国盗り物語」の、
織田信長高橋英樹)とお濃(松坂慶子)が印象に残っている。
お濃は、ただ信長に従うだけの妻ではなく、
時には軍師のように、様々なアイデアを信長に助言する。
謂わば、織田株式会社の重要な相談役であった。
千代が急成長企業の、織田株式会社の中間管理職の妻なら、
濃姫は、その会社の若き社長夫人だ。
才気あるお濃に、当時の私は魅力を感じた。
信長を膝枕して耳かきをする妻、お濃に母性を見た。
我が儘だが、傑出した才能のある信長というヤンチャ坊主を、
妻として、時には母の如く、そして一人の女性として支えたお濃。
私の中では、細川ガラシャとともに、惹かれる戦国の女性だ。


賢夫人とは、男性にただ従うのではなく、
男性の才能を見出し、温かく見守り、
時には、アシストすることも必要なのではないか。
少しばかり、この考えは男性本位の考えではあるが・・・・