崩壊の予兆


万俵家の崩壊が始まった。
一人一人が、自我を持ち、自己主張を始める。
銀平(山本耕史)は、異父兄弟の鉄平(木村拓哉)に兄弟の情を感じ、
裁判の証人を申し出る。
しかし、鉄平は断る。
万俵家の家族は、家長である万俵大介(北大路欣也)ではなく、
長男鉄平に同感する。
妻(原田美枝子)万俵一子(吹石一恵)万俵二子(相武紗季)女性達は、
大介ではなく、銀平に心を寄せる。
次男銀平の心も揺れる。
兄と阪神銀行の間で。
銀平のナイーブさを、よく山本耕史が好演している。
影のある銀平の役をこなしている。


鉄平のヒューマニティーも理解できるが、
経営者としては、理解しがたい。
忠臣蔵のようなお家御取り潰しと変わらない。
厳しく言えば、会社更生法とは倒産に等しい。
そうした事態を招かないことが、経営者の本分なのだから。
万俵鉄平の正義感は、人々の共感を呼ぶ。
とても、素晴しい資質だ。
鉄平の、この資質は素晴しくも危険な性格だ。
万俵鉄平は大波となり、人々の心を丸ごと巻き込み、海に沈めてしまうから。


寧ろ、私は万俵大介に共感することもある。
孤独な経営者、万俵大介に・・・・