着物の魅力
先日、ある料亭で、二人のご夫人の着物姿を拝見した。
一人の女性は、三十前後とおぼしき方。
いま一人は五十前後のご夫人。
お二人とも、着物を着慣れた方とお見受けした。
年配のご婦人は、少し着崩した感じで、玄人ぽい着こなし。
若い方のご夫人は、所作が優美で、
後姿が映えていた。
後姿でこちらを振り向く姿が、
日本画の「見返り美人」を彷彿させた。
姿見に映したら、一服の浮世絵になるだろう。
女の艶を感じる。
お二人とも、「見えないところに気を使う」
と、仰っていた。
襦袢などにも気を配る、お二人とも粋なご夫人だ。
着物の袖口や袂から、ちらりと見える襦袢は、
独特のエロティシズムがある。
欧米の女性にはない、日本女性の美意識を感じる。
往年の女優、若尾文子、山本富士子、佐久間良子など、
実に着物が似合っていた。
吉永小百合、岩下志麻も着物美人。
まさに、匂い立つような美しさだった。
現在活躍中の若手の女優で、着物が似合う女優は誰だろう。
長澤まさみ、沢尻エリカ、ウ〜ンと唸ってしまう。
松たか子、彼女は梨園の出らしく、着物姿も自然だ。
松嶋菜々子も、長身ではあるが、着物が似合う女優。
若手ではないが、高島礼子、黒木瞳も着物が映える女優。
着物の魅力が、女性の魅力とコラボするとき、
一つの楽曲にも似た、美しいメロディーとなる。