野生の尊重


戸川幸夫原作、矢口高雄作の漫画「野生伝説」を読んだ。
この漫画は、吉村昭の小説、「熊嵐」と同じ羆による悲惨な事件。
人食い熊と人間との戦いが、リアルに描かれている。
人間が、自然を破壊する。
その影響で、自然の恵みの魚、木の実などが減少する。
野生の飢えた羆が、人食い熊となる。
人々は、羆に憎悪を抱く。
しかし、自然の中では、羆が北海道では先住民。
羆の視点からは、羆の棲みかに、勝手に人間が後から住居を作ったにすぎない。
野生の羆のテリトリーに、人間が入り込んだことになる。
羆は、その人間を駆逐すべく襲ったに過ぎない。
羆の人間への殺戮は、あくまでも食料確保の為。
自然の掟を尊重するなら、羆の行動は許されることとなる。
理屈は、その通りだが人間の心情は羆を許さない。
羆は、人間によって討たれる。
自然の過酷さ。
人間と羆との共存共栄の道の難しさ。