長良川艶歌


   水にきらめく かがり火は

   誰に想いを 燃やすやら


石本美由紀作詞、五木ひろし歌唱の「長良川艶歌」の一節。


水面に写る篝火。
火は、水に自らを映す。
水は、火を映す。
実体としての、火と水は、相容れない。
火に水をかければ、火は消える。
ただ、自然界では、水面に炎を映し出す。
映像として、火と水が一体になる。
そして美が生まれる。


文学的考察。
長良川の鵜飼船の篝火に、
己の恋心を重ねる女性。
心象が実景に憑依(ひょうい)する。
鵜飼舟の篝火が、恋なのではなく、
恋する女の心象が、
篝火の炎を、自らの恋の映しえとなす。
それでも、「誰に思いを燃やすのやら」
と、呟く女心が切ない。