ろくろ首の恋


ゲゲゲの鬼太郎「首ったけ?妖怪恋物語」の、ろくろ首の恋が切なかった。
何故か、とくろ首は、猫娘の紹介で大学の購買店でアルバイトをする。
ろくろ首は、失敗続きで落ち込む。
そんなところに、誠実そうな学生がパンを買いに来る。
ろくろ首は、学生に一目惚れ、
恋の病に首を上手にコントロールすることが出来ず、
夏なのに、マフラーをする始末。
妖怪の世界では、純日本風の和服のろくろ首が、
人間界は、イケイケファッション。


そんな大学に、恋する女性の生き血を啜る妖怪、おどろおどろが出没。
今までラブラブだったカップルが、突然女性から別れる事件が相次ぐ。
実は、この妖怪に生き血を吸われると、女性の恋が醒めてしまうのだ。
ろくろ首も、この妖怪のターゲットにされ、逃げる途中で、
片想いの学生と深い穴に転落。
学生は、足の骨を折り苦悶する。
首を伸ばせば助けは呼べる。
妖怪である素性を知られたくない気持ちと、
恋しい人を助けたい気持ちで揺れる、ろくろ首の女心が切ない。
ろくろ首は、恋する学生を助けたい一心で、
とうとう自らの首を伸ばし助けを求める。


素性を知られたろくろ首は、呆然自失の日々を送る。
たまたま、鬼太郎たちがろくろ首を励まそうと、
テレビを付けると、ろくろ首が好きになった学生が出演。
「首を長くして君を待っています」
と呼びかける学生。
彼のもとへ、体が自然に動くろくろ首。
恋する妖怪、ろくろ首は、弾むステップで、駆けて行く。
ワンレン・ボディコンのスタイルで・・・・・


さて、お歯黒べったりや砂かけ婆たち、年配妖怪の言葉、
「人間は、せいぜい生きて100年、妖怪が人間に恋をすれば、
悲しむのは妖怪だ」
が印象に残る。


雪女や鶴の恩返しも、
愛してはならぬ人間の男を恋して苦悶する女が、
美しくも切なく描かれている。


ろくろ首は、それでも恋する青年のもとへと走る。
妖怪の結界を超え、人間界へと・・・・・


〇 不死なる者の悲劇は、
萩尾望都の「ポーの一族」と、どこか重なるなと思った。
バンパネラは不死ゆえに、孤独を味わう。
愛する者は死に、自らは生きねばならぬ運命。
不死なる者の悲劇がそこにある。