絶唱夏目雅子


童女のようなお嬢さんが女優となった。
母と対立し和解した娘がいた。
「雅子はわたしの誇りよ」
芸能界入りに強く反対した母は、女優としての娘を認めた。


私は、夏目雅子が俳句を作っていていたことに、
彼女の生前から興味を持っていた。
彼女が文学に目覚めたのは、愛する伊集院静氏の影響か・・・・



夏目雅子は、「海童」という俳号で俳句を作っていた。


    間断なく音なき空に星花火


           海童


27歳の夏目雅子の遺句。


今回のドラマ「ひまわり〜夏目雅子の生涯」の中では、
屋外で伊集院静氏と花火を見るシーンがあった。
実際の俳句からは、屋外ではなく、
伊集院氏と静かに窓越しに花火を見ている雅子がいる。
雅子は「間断なく」と、夜空に次々と花火が打ちあがる光景を表現する。
しかし、病室の彼女には花火の音は聞こえない。
そんな光景を「音なき空」と、詠んだ夏目雅子
きっと彼女は彼に、優しく抱きしめられていたのだろう。
愛する人と二人きりで、花火を見ている。
夏目雅子は、儚い花火に、一瞬の生の煌きを見たのか。
それが、「星花火」となり、
彼女の胸に花開いたのだろう。