山猫

     『紋章は山猫なりき落日燃ゆ』


ルキノ・ビスコンティの「山猫」を観ていたら、
宝塚の舞台が甦った。


「山猫」は映像が、実に耽美的。
豪華にして絢爛な滅びの美学が、貫かれている。
甘く怠惰な時を刻む。


山猫の紋章のシチリアの名門貴族、サリーナ公爵家
時代はイタリア統一に向けて、革命の嵐を迎えていた。
サリーナ公爵家もまた、そうした時代の荒波に飲み込まれようとしていた。
サリーナ公爵役のバート・ランカスターは重厚。
彼の髭ともみ上げが印象的。
甥のタンクレディ役の、アラン・ドロンが妖しくセクシーな青年貴族を演じている。
恋人のアンジェリカ役のクラウディア・カルディナーレも高貴にして、美しい。


落日の一瞬の輝き、それは公爵家の大舞踏会。
ビスコンティもまた、貴族出身の映画監督だ。
「山猫」は、カンヌ映画祭グランプリ作品。