ジャッジ 島の裁判官奮闘記


 西島秀俊の、真面目で、不器用な裁判官が適役。
純情きらり」の無頼派の画家冬吾とは違った、誠実な裁判官役。
西島秀俊の、役者としての幅の広さを感じる。
脇を固めている、妻の麗子役の戸田菜穂
東京の敏腕弁護士、夏海役の浅野温子
寺田農も南の島の飄々とした弁護士の味をよく出している。
ベテランぞろいの、芸達者なキャスト。
「ジャッジ」は、木村拓哉主演の検事が活躍する「HERO(ヒーロー)」とは、
一味違う、ヒューマンドラマ。
ヒーローではない、不器用にして誠実な、裁判官の物語。


三沢恭介は、前任は大阪地裁でバリバリ働いていた裁判官。
ただ、家庭では、仕事の忙しさから、妻と溝が出来て、
妻と子供と、別居生活を送っていた。
そんな三沢恭介が、南の島の地方裁判所支部長に赴任することとなる。
この赴任を期に、三沢は、妻子と一緒の生活をすることとなる。


等身大の裁判官として、仕事に家庭に悩む裁判官を、
西島が好演している。
そんな、夫と次第に心が通い合い、再び信頼関係を回復する、
妻麗子の心理を、戸田菜穂が丁寧に演じている。


裁判官を主人公にしたドラマは、確かに少ない。
ともすれば、地味な存在の裁判官は、
ドラマの主人公にするのは、製作者にとって、冒険でもあったろう。
この「ジャッジ」は、西島秀俊という、役者をキャスティングしたことで、
見事に、裁判官の奮闘記がドラマ化されている。
第4話の交通事故での、判決での苦悩は興味深かった。
原告、被告双方の主張。
実刑か執行猶予かの判断。
一人、風呂に浸かり、考える裁判官の恭介が印象的。
判決の重さを考えれば考えるほど、悩みも増す。


人間が人間を裁くのか?
六法全書が、人を裁くのか・・・・・


裁判官、恭介の悩みは深い。
そんな恭介を支える、妻の麗子。
良質のヒューマンドラマが少なくなった昨今、
「ジャッジ」は、面白いドラマだった。