怪傑ウーマン


塩野七生は、怪傑ウーマンである。
怪傑とは、不思議な力を持つ、すぐれたひとの意味で、
往年のヒーロー「快傑ハリマオ」などで使われている。
ただし、「怪傑」の「怪」でなく、「快」の字で「快傑」となってはいるが・・・


塩野七生の「男たちへ」を読んでいるが、痛快に面白い。
第1章の「頭の良い男について」から第54章の「腹が出てきてはもうおしまいか」
まで、興味深い内容なのだ。
第5章の「嘘の効用について」や第11章「女には何を贈るか」
第17章「殺し文句についての考察」など実に面白い。
「むべなるかな」と、頷ずかざる負えない圧倒的な説得力がある。


日本の男性は、「女を良く評する表現は二つしかない。
気さくなオバサンタイプに、女らしいキメ細かさと、
いずれも、色気のない存在に祭りあげてしまう役割しかもたない。」
と手厳しいが、
その後、「男たちよ、自信をもってください。」
と励ましてくれる。
塩野七生は、「君主論」で名高いマキアヴェリの造詣が深い。
それゆえ、パワーバランスを心得えている。
しかし彼女の文章には、潤いがある。
どこかセクシーな文体であり、
エスプリとユーモアがある、不思議な力がある。
まさに、怪傑ウーマンなのだ。


「男の色気は40から・・・・」
この本を読みながら、勝手に、そんなことを考えたりした。
塩野七生に、叱咤激励されているような気持ちになった。