百日紅(さるすべり)


          ひたむきに 
           水に恋する
            百日紅


          百日紅
           女ざかりの
            身を焦がす



つかもうとしても、
つかもうとしても、
五指からこぼれ落ちてしまう水。
ただ冷たい感触がのこるのみ。
水は情愛にもにて、
強烈に体が欲し、
やみがたき思念にとらわれる。
時として水は、
生命あるもの、魂をもつものとなる。
水のような人に恋する苦しみと悦楽を、
百日紅の花に込めた。


百日紅さるすべり
猿滑とも書く。
ミツハギ科の落葉高木。
樹皮が褐色で滑らか。
夏に花が咲く。
紅・白・淡い紫色の六弁の花。
百日紅は夏の季語。