女の誇り


人が生きてゆくとき、
『捨て置けぬ』事が一度はあるのではないか・・・
そんなことを考えさせるドラマ。


「女の誇り」は、藤沢周平の短編小説「榎屋敷宵の春月」原作の時代劇。
何はともあれ、寺井田鶴役の瀬戸朝香が美しい。
武家の妻で、小太刀の名手。
凛とした瀬戸朝香は「女の誇り」にふさわしい役柄。
亡き義兄新十郎(山口馬木也)に恋心を抱いていた田鶴。
その新十郎を捨て、自殺に追いやったのは、旧友の三弥(酒井美紀)だった。
今は、それぞれ主人を持ち、家老の出世競争に内助の功でしのぎを削る。
そんな田鶴の前に義兄と瓜二つの密使の関根(山口馬木也・二役)が現れる。
偶然、刺客に襲われた関根を、得意の小太刀で田鶴は助けることになる。
瀬戸朝香の殺陣のシーンはなかなか見ごたえがあった。


夫の織之介(田辺誠一)の気弱だけれど、正義感のある役どころが、
田辺誠一にピッタリだった。
「待つだけでなく、釣は曳かねば魚は釣れぬ」
含蓄のある織之介の言葉。



田鶴に屈折した愛情を持つ宗方三弥。
田鶴への、
「嫌い、大嫌い」の三弥の言葉は、
そのまま「好き、大好き」になっている。


最後に田鶴と三弥は、
紅葉の小道を歩く。
「和解」という言葉が私の脳裡に浮かんだが、
果たして二人は「和解」したのだろうか、
そんな疑問も残った・・・・


白線流し」の酒井美紀、「君といた夏」の瀬戸朝香は、初々しかった・・・
それにしても、瀬戸朝香酒井美紀は若妻の色香を感じさせる。
大人の女性の満ち足りた幸せが、彼女達の色香になったのか・・・・