思想界の巨人


ETV特集を見る。
吉本隆明の肉声を初めて聞いた。
何となくいかりや長介に似ているなと思った。
自己表出に芸術の重き置く彼は、
ロゴスよりもパトスの人なのではないか・・・・
そんな印象を持った。


学生の頃、
「言語にとって美とはなにか」を読んだが、
自己表出と指示表出がキーワードなんだな、
そんな程度の理解でしかなかった。
今もその程度なのだろうが・・・・
顔をやや上向きにして語る、吉本隆明
芸術とは無価値であるゆえに価値があるという、
二重背反なのか?
芸術は経済的基盤(下部構造)に左右されない、
上部構造の存在なのか?


人間が言葉を獲得するまでの遙かなる道のりは、
取りも直さず沈黙の歴史でもあった。
感情がありながら言葉を獲得していない人類の歴史は、
言葉を獲得した歴史より遙かに長い歴史だったのではないか。
感情を言葉にできない歴史は、「沈黙」に隠れている。
「沈黙」は仮面か真実か・・・・


沈黙の幾万年の蓄積は、自己表出の噴火となったのだろうか。
岡本太郎の「芸術は爆発だ
そんな言葉が脳裡を走った。



「幹と根」
という言葉を吉本隆明はよく口にしていた。
そして、講演に若い方、それも若い女性が多いに驚いた。
娘さんの吉本ばななの小説の読者も来ていたのかもしれない。