青春メモリアル


「出来れば、いつも寝転がって生きていたいと思う。」
から始まる小泉今日子著「パンダのanan」を読んでいる。


印象に残ったのは「ヒーロー前篇と後編」
「この間、季節はずれのお墓参りに行ってきました。
実家のすぐ近くのお寺には、父親とお祖父ちゃんお祖母ちゃん、
そしてわたしたちの伝説のヒーローが眠っています。」


「格好良くてお洒落で強くて優しくて
どこか紳士の雰囲気を持っていました。
不良がヒーローになりえた時代だったのかもしれません。」


と、中学当時の不良達を振り返っている。
特にリッチ君と呼ばれていた近所の不良男子が鮮烈だ。
伝説のヒーローのリッチ君のこを生き生きと彼女は綴っている。
ある日、今日子はリッチ君の秘密を知ってしまう。
それは泣いてるリッチ君の姿。
強いツッパリの彼の涙。
リッチ君が泣いているのを見てしまった今日子は、
罪悪感さえ覚える。
今日子しか知らないナイーブなリッチ君、そんな思いも文章から伝わってくる。
十代でリッチ君は、突然自ら命の絶ち伝説の人となる。
リッチ君の墓前にタバコを供える文章が印象的だった。


「私達のヒーローはもういない・・・・。
だけど、彼のお墓は私達の青春の記念碑となって今も私達を支えてくれる。
お線香の代わりにタバコを供えて、私達は青春に感謝する。」