秘密の宝石


宝石箱には宝石がなければならない。
思い出という秘密の宝石を、
人は見たくなることがあるから・・・・


風と共に去りぬ」を観ながら、
ふと中学時代の担任の先生を思い出した。
先生は、美術担当の女教師だった。
先生は、夢見る少女のようなキラキラした瞳で、
この「風と共に去りぬ」について語っていた。
スカーレット・オハラの生き方が、
いかに強く激しいか、
そんなことを語っていた。
当時の私は、百恵ちゃんの「赤い疑惑」の方に興味があったが・・・・


どこかでスカーレット・オハラに惹かれながらも、
当時の私は彼女の一種功利的な生き方に、
反発を感じていた。


「あなただけを愛してるのアシュレ」


と言いながら、次々に愛のない結婚をする彼女。
 「結婚した男はたまんないよな〜」
と私は思っていたし、
更に「不実」ではないかとも思えた。
でもそんな超我がまま娘に次々に落とされてゆく男の性(さが)・・・


思春期の私は、どこかでスカーレットに惹かれながら、
心の奥にそうした感情を押し込めていたのかもしれない。
アシュレの、
「君の事は愛してるが結婚する女性ではない」
メラニーを選んだ判断はむべなるかな。
スカーレットと結婚した男は、
一時の夢は見させてもらえたが、
みな概ね不幸になっている。
スカーレットはあげまんとは、どうもいえない。


先生はスカーレットの生きざまに自分を重ねていたのか?
それとも婚期だった先生は、恋愛に悩んでいたのか、
未だに分からない・・・・・
先生にお尋ねしたいことがある。
宝石箱の宝石は輝いていますか・・・・