カスマプゲ


李成愛(イ・ソンエ)の「カスマプゲ」を聴いたとき、
少なからず私は衝撃を受けた。
この曲は1977年にヒットした。
10代の私にとってこの曲は、
違和感を感じながらも、何故か惹かれる歌唱だった。
当時、日本はアイドル全盛時代で、
どうして韓国歌謡の「カスマプゲ」が印象に残ったのかはわからない。


「カスマプゲ」は、船に乗り去ってゆく愛しい人との別れの曲。
「カスマプゲ」の李成愛に、女の情念のうねりのようなものを感じた。
「カスマプゲ」とは、胸が痛い・切ない
そんな意味の言葉だそうだ。
韓国の歌やドラマが、まだ日本では一般には認知されていない時代だった。
この歌が流行った頃、韓国は軍政の時代だったと思う。


李成愛は、結婚を期に歌手を引退している。
「結婚は女の最大の幸せ」
と彼女はラストコンサートで話している。


「私の後に続く後輩にこの温かい拍手をお願いします」
「カスマプゲ」の間奏で彼女は日本の観客に語りかける。


韓国歌謡、そして韓流ブームの原点は、
李成愛の「カスマプゲ」にあるのではないか・・・・