大仏開眼(後編)


真備(吉岡秀隆)と内親王石原さとみ)との関係は、
プラトニックラブなのだろうか?
自分の気持ちに正直に振る舞う内親王は、
真備に恋愛感情を抱く女性として描かれている。
しかし真備は、どこまでも君下の立場を貫く。
一人の男性としての意志表示はしない。
ストイックな印象がある。


玉座孝謙天皇は初々しい女王様。
女帝という印象は薄い。
このドラマでの石原さとみの熱演が光る。
「仁−JIN」の綾瀬はるかも好演していた。
石原さとみ綾瀬はるかホリプロの女優は輝いている。


藤原仲麻呂高橋克典の秀逸なる演技。
さらに國村隼が、思慮深く威厳のある聖武天皇を演じている。



野心の塊ながらナイーブな仲麻呂
大仏の威光に怯えつつも、
自らの意志を貫くためには手段を選ばない。
その仲麻呂の権力と結託する玄坊(市川亀治郎


大仏造営を望む聖武天皇に反対の意を唱えた真備だったが、
しだいに大仏造営に傾いてゆく。
大仏造営は日本の人口が僅か500万の1300年前。
そうした時代背景を考えれば、国を挙げての大事業だったろう。


大仏造営に、汗水流す民衆の姿に、
何事も理屈で解決しようとする真備だが、
理屈では理解できない、人の力のあることを知る。
大仏は、民衆の心の写し鏡のようにも思える。
大仏は希望なのだ。


律令国家日本。
君臣共治(くんしんきょうち)
この点では真備と仲麻呂は一致する。
但し、仲麻呂は藤原一族のための律令国家だ。
吉備真備(きびのまきび)と菅原道真を除けば、
奈良時代から平安時代へと藤原氏は栄華を極める。
これもまた時代の真実だ。