年金交々(こもごも)


「年金を貰うまでは死ねません」
そう微笑んだ女性スタッフ。
彼女は50代後半だが、60歳になったら必ず年金を貰うそうだ。
「せっかく長い年月働いて納めてきたのに、
 死んじゃったら元も子もないじゃないですか」
「年金の手続きの時は会社を休みますので、
 その際はよろしくお願いします」
と何年も先の有給休暇を申請され?
私も苦笑してしまった。


ねんきん定期便」を読むと、
私はどこか釈然としない気持ちが残る。
ねんきん定期便」は、20年間受給した場合の合計額を記載している。
受給の合計額をご覧になって、
「けっこう納付した金額より受給が多いんじゃないか」
と感想を持たれる方も多いと思う。
ただし、厚生年金保険については注意を要する。
これまでの保険料納付額は、会社負担分を除外した、
個人負担分(被保険者負担)の合計金額のみが記載されているからだ。
個人負担で500万円納めていれば、
会社負担500万と合計すれば1000万となる。
この会社負担、経営者にとって大きな負担となっているのも事実。


本来は個人負担(被保険者負担)と、
会社負担を合計した厚生年金の累計額を記載して、
20年間の受給金額と比較しないと、
正確な情報開示にならないのでは、そんな疑問が残る。


一方で、年金の「相互扶助の精神」は失わないでほしい。
それは年金が「世代間扶養」の原資でもあるからです。
年金は個人個人が国に納めた国民の貯金という意味合いと、
勤労世代が高齢者を支える意味での世代間扶養、
その二つの重要な意義があるように私は考えます。