夜の河


山本富士子主演の映画「夜の河」を見る。
京都堀川の京染屋の娘きわ(山本富士子)は、
婚期も過ぎつつある身で、家業に打ち込んでいた。
そんなある日、偶然きわが染め上げたネクタイを締めた
中年の紳士(上原謙)と奈良で出会う。
奈良で出会った中年の紳士、
大学教授の竹村に彼女は魅かれ恋に落ちる。


わたしはこの映画の中で、
嘗てあった日本女性の色気に魅了された。
肩までもろ肌を脱いで黒髪を洗う仕草。
くちずけをした後の、獣ののようななまめかしい目をして、
吐息を漏らしす恍惚の表情。
指を噛んで涙するシーン。


研究が上手くいかず、
落ち込んで、ひとり竹村がビールを食堂車で飲んると、
偶然きわが同じ列車に乗り合わせた。
そのときのこんな科白が印象深い。


「この汽車でお合いできたの祇園さんのお陰がしら」
「なんで・・」
「先生のいちばんがっかりしておやすとき、お傍にいられて」


こんな言葉を掛けられたら、男性はグッとくるのではないか。


彼女の言葉でドキッとしたとは、
初めて竹村と情事をした後の科白。


「心配しとりやすの!」「だいじょうぶどす。」
「たとえでけてても自分の子として育てますわ」
「きっとあんたに似て目のきれいな子どっしゃろな」