フランスの詩と版画


梅雨のような陰鬱な午後、少しアンニュイ気分で、
町田市立国際版画美術館の『フランスの詩と版画』を見に行く。
この展示のサブタイトルは『ひびきあう魂の航跡』
この町田市立国際版画美術館は、版画専門のユニークな美術館。
ランボーヴェルレーヌボードレールなどのフランスの詩人の本。
その本の版画の挿絵が展示されていた。


ランボーをはじめとした学生時代に読んだ詩人達。
そんな詩人ばかりで懐かしくもあったが、
そういえば日本語訳の文庫本ばかりで本に挿絵はなかった。
そんな私にとって詩に寄り添う版画の挿絵は新鮮だった。



9人の美術家がアルチュール・ランボーをテーマにした
一連の作品が面白かった。
パブロ・ピカソの79歳の制作のランボーの版画。
ピカソは版画も制作していたのか・・・・
絵画のピカソしか知らない私にとって彼の版画は驚きであった。
この展示会で知ったのだが、
ピカソは生涯に2000点を超える版画を制作しているそうだ。


天才ピカソはミューズの天才ランボーを簡潔に描いている。
才気溢れる青年というよりは、品行方正な青年のようなランボー
まるで孫でも描くような晩年のピカソの眼差しを感じる。
他にジョン・アルプ、ジョルジュ・ブラックジャン・コクトー
マックス・エルンスト、ヴェランティーヌ・ユゴー
アルベルト・ジャコメッティジョアン・ミロ、ジャック・ヴィヨン
などの作品があった。


ロートレアモンの詩集「マルドロールの歌」を版画にした、
サルバドール・ダリの作品も印象深い・・・


詩集と挿絵
このふたつの作品は互いに寄り添いながら存在している。
そんな思いを作品を鑑賞しながら強くした。


この版画美術館は、東京都町田市の芹ヶ谷(せりがや)公園にあり、
園内を散策すると趣があり、森林浴にもなる。
虹と水の広場の噴水が斬新的だった。
二本のステンレス製のバーが風車のように組み合わさり、
中央の支柱から流れ出た水がダイナミックに流れ落ちる、
今まで見たことのない噴水だった。
晴れた日なら虹が輝いていたのだろうか・・・